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第3話  松本清張生誕百年によせて   ◇2010.6◇

 松本清張(1909~1992)という昭和の文豪は大変高名です。芥川賞や吉川英治文学賞、菊池寛賞を受賞。社会性の導入による推理小説『点と線』(1957~58)、『ゼロの焦点』(1958~60)で、「社会派推理小説」という新分野を開拓。推理小説だけでなく、時代・歴史小説といった幅広いジャンルでも時代を画した小説家。現在では公募長編エンターテインメント小説に対して「松本清張賞」という賞も贈られるようになっています。
平成21(2009)年はその松本清張が生まれてちょうど百年の記念の年でした。平成21年といっても松本清張は12月21日生まれ。そこで生誕百年を記念し、平成21年末から松本清張に焦点を当てた雑誌が数多く出され、スペシャルドラマも放映されたりしています。実際に「週刊 松本清張」という雑誌を目にしたり、ドラマを見た人もいるのではないでしょうか。
 その松本清張と出口直日人類愛善会三代総裁は親交がありました。というのも、昔大本の教育機関である梅松塾の塾長を務めた山川京子という人類愛善会会員と松本清張はいとこだったのです。それがきっかけだったのでしょうか。昭和30年のある日、出口直日人類愛善会三代総裁は実際に松本清張と会う機会を得、「新聞社の小使さんから努力なさって今日になられた方だと聞きましたが、土の香りを感じる素朴な方で、とても好きな方でした。何かご自分も逆境に育ってこられたそうで、不遇な方に同情を持たれるのか、そんな素材のものを書かれていて、それだけでは文学的に完全なものと言わない人もいるでしょうが、面白い作品を書かれる方です」と言っています。
 その後、親交を深めるにつれ、松本清張は出口直日人類愛善会三代総裁の人柄や芸術作品に好意を寄せるようになっていきます。昭和39(1964)年9月28日から10月3日、東京日本橋の美術商会「壺中居」において、「出口直日作陶展」が開催された折には「(前略)私は直日さんの水墨画集を見せてもらったことがあるが、その中にはさまれた数葉の写生画の線の正確さには驚嘆した。水墨画家としても立派に一家をなす人である。しかも、専門画家や専門陶工と違って、どの作品をみても香りがある。幽玄な鎮静だけが占めて騒ぎがない。この作家の精神修練の自らの所産であって、他人には真似ができない。もし傾倒する者があって形を真似ても香りは立つまい。(中略)私は、早くから直日さんのファンの一人である」というすばらしい作品評を寄せています。
 翌年1月3日には京都府亀岡市の天恩郷に来苑。出口直日人類愛善会三代総裁は自ら苑内を案内しています。昭和42(1967)年には出口京太郎氏著『巨人 出口王仁三郎』という本が講談社から出版されますが、その本にも書評を寄せ、昭和44(1969)年に開かれた「立花大亀・出口直日二人展」に合わせて企画された座談会にも出席。「三彩」という美術月刊誌にその座談会の様子が掲載されました。
 ところで、小説家の松本清張が出口王仁三郎人類愛善会初代総裁や大本・人類愛善会をモチーフにした作品を書くことはなかったのでしょうか? 実は存在しています。『別冊文芸春秋』の昭和41年12月号に発表された「粗い網版」という作品がそれ。昭和10年に起こった第二次大本事件の真相を捜査側からの視点で描いたとされています。松本清張生誕百年にちなみ、興味のある人は読んでみてはいかがでしょう。

(「人類愛善新聞」編集者 奥脇俊臣)


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