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 主張 Opinio

▣ 自殺防止のために ▣ 宗教本来の役割に期待する

(2010年夏号)

 2009年(平成21年)の日本の自殺者は約3万3千人(警察庁発表)。この12年連続して3万人を越えた。08年の人口10万人あたりの自殺者は25人。この数字は先進国中で突出し、統計を発表している国々の中でも6番目に高い。
 この異常事態を、WHO(世界保健機関)は「日本では自殺が文化の一部になっているように見える」と評した。
 英エコノミスト誌(08年5月3日)も、急激な経済不振や生活不安の影響を認めながらも、「自殺は運命に直面して逃げない行為として承認されることさえある」「日本社会が、失敗や破産の恥をさらすと思わせずにセカンドチャンスを許す社会に変わるなら、自殺は普通のことではなくなるだろう」「仏教や神道といった日本の中心的宗教は、明確に自殺を禁じていたアブラハム系信仰と異なり、自殺に対し中立的だ」と論評した。
 07(平成19)年、政府は、自殺問題への社会的取り組みの必要性を認め、「自殺総合対策大綱」を閣議決定。自殺予防策として、社会的要因も踏まえ、総合的に、また国民一人ひとりが予防の主役となるよう、取り組みを始めた。
 その大綱は、事前予防、危機対応に加え、未遂者や遺族への事後対応を含む3段階の対策を探る。自殺の実態を解明し、中長期的視点に立って継続的に関係者が連携し、包括的に支えることが必要だとしている。
 さらに08年には、「大綱」の延長線上に「自殺対策加速化プラン」も決定。不安定な社会経済に対する政治的救済策も重要だ。
 しかし、これら政府の自殺予防策は、宗教の果たすべき役割に全く触れていない。
 憲法の政教分離原則を踏まえた姿勢と推測できるが、大いに疑問が残る。日本の宗教界は、世界に突出する異常な自殺状況に対し、この際、自らの主張を世に訴えるべきではないか。
 宗教が担うべき自殺対策は、「大綱」のいう具体的な自殺予防や遺族サポート活動にとどまらない。人生に苦悩する人々と向かい合い、どう生きるべきかや命の尊厳について、教えに基づく「人生観」「死生観」「霊魂・霊界観」を伝え、前向きに力強く生き抜く力を呼び覚ましてこそ、宗教本来の役割を発揮することになるのではないか。
 出口王仁三郎人類愛善会初代総裁は、こう示している。
 「精霊は人の本体 肉体はその精霊のころもなりけり」「身体も霊魂も神のものなれば 仰ぎうやまへ吾とわが身を」「人生の真目的は地の上に 無窮の天国建つるにありけり」「逆境に立つ身は大なる順境に向かへるものと直に進めよ」
 個性を持って永遠の生命を保つ精霊として、地上天国建設の天業に奉仕するという、人間としての生涯の意義を確信する。ここにこそ、人生を前向きに力強く生きる、本当の勇気と希望、喜びは生まれる。
 いまや異常に自殺率の高くなった日本だからこそ、宗教界に対し、本来の役割を果たすよう強く期待したい。


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