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 主張 Opinio

▣ 世界平和と宗教者の役割 ▣ 本来の心に帰る姿勢を示そう

(2008年夏号

中国ではチベット民族による反政府暴動と四川省の大震災、ミャンマーではサイクロンと、激しい紛争や大規模な災害が続けざまにアジアを襲っている。

一日も早い問題解決と被災地復興を祈り、国際社会も積極的支援を申し出ているが、政府の立場や内政も絡んで事はなかなか円滑に進まない。

対立する双方に言い分があって難しい。人権問題を非難される中国は、封建的農奴制と貧困からチベットの民衆を解放し、社会を近代化させたとその功績を強調。チベット人の間からは、固有の伝統文化や精神の擁護を求める声が高まる。ミャンマーの軍事政権も立場を正当化する論拠を持っている。

被災状況の深刻さがわかるにつれ、両政府とも政治的立場への固執を離れて心を開き、国際社会の支援を受け入れ始めたことは、明るい変化であった。

地球温暖化の影響もあるのか、世界の自然災害の発生頻度は過去30年で倍増。近年は大規模化も目立つ。いつどこで災害が起こるかわからない状況だ。そして、経済のグローバル化とともに、大災害の影響は被災地だけでなく、全世界に及ぶ時代になった。

だれの目にも明らかなように、今や、一国で平和を保てる時代ではない。精神的指導者の立場にある世界の宗教人は、地球と人類全体が平安の中で繁栄できる、「愛善世界」の実現に向けて、宗教・宗派の差異を乗り越えて大同団結し、活動すべきときである。

4月17日、完成した新・大本東京本部で「東京大本歌祭」(⇒2面が行われた。そこでは、国も言葉も宗教も異なる人たちが集まり、日本の伝統芸能であり神事である歌祭を通じて、心を一つに世界平和を祈った。

特筆すべきは、国内の宗教代表者らとともに、紛争地を内包する中東地域のエジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナの駐日大使や代表たちがそれぞれの母国語で、平和を願う詩歌を神前に捧げ、同席したことだ。

一つ一つの歌は、夷振調という古く雅な調べにのせて朗詠された。閉会後、イスラエル・パレスチナ両代表が熱く抱擁しあうという、予期せぬ場面もあり、万堂の会衆にも、文字通り涙ぐむ感動をもたらした。

このたびの歌祭は、日本の伝統文化や精神を基調としながら、諸外国の人々も違和感なく参加し、同じ人間として平和の心を共有できる、新しい宗教協力や平和運動の可能性を示した。

世界平和の実現に向けた宗教者の役割は、現実の政治・経済体制の変革を求める行動に先行して、人類の心に潜む、諸悪の根源である「われよし・強い者勝ち」の精神を克服し、他者を愛し思いやる、人間本来の高い心性に帰る姿勢を自ら示すことにある。また、その機会や場を、提供することにある。こうした基本姿勢に立ち、世界の宗教指導者との協力関係を広げ深めていきたい。


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