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子豚を育てて学校に行こう!

『愛善Pigletプロジェクト2010』始まる
フィリピン 元・養豚奨学生が地元教師として活躍
奨学生
『愛善 Pigletプロジェクト2010』の奨学生の一人、ライゼル・ジェーン・M・グランデちゃん(10才、マット・ガサン小2年)。両親は失業し別居中で、彼女は祖母と生活している

 フィリピンの人類愛善会マニラ分会(当時)が1993年から3年計画で実施した、養豚による子供の就学援助事業が、新たな組織の下、「『愛善Pigletプロジェクト2010』として、再び同国マリンドューケ州で始まった。すでに今年2月、選抜された20人の児童に子豚が支給され、現地は喜びにわいている。(報告・木村且哉人類愛善会国際部主任)

 フィリピンには1986年から96年まで、人類愛善会マニラ分会があった。同国でリゾート開発事業を展開した愛知県出身の平野光男氏(95年に急逝)が86年に設立し、分会長に就任した。
 平野氏経営の会社はマリンドューケ島の南端に150万坪の広大な敷地を入手し保養施設を開発。これに合わせてマニラ分会は、島内の貧しくて学校に行けない未就学児童500人の教育援助活動を行うことになった。
 そして、人類愛善会婦人部(当時)が日本側窓口となり、平野分会長を現地側窓口としてマリンドューケ州と州内6つの行政区が実務を担当する形で、「愛善友の会」奨学制度が発足した。
 3カ年計画で実施されたこの奨学制度は、ただお金を支給するのではなく、現地の生活に有益な養豚技術を習得し、豚を増やして売って得た収入を預金し、そのお金を就学、進学の経費にあててもらう制度だった。
 日本側は一口月額500円で集めた500口分の愛善基金を、就学援助金としてフィリピン側に提供。93年に第1回目の基金支給が行われ、島内452人の児童に子豚が支給された。
 現地で指導したのはマニラ分会顧問でマリンドューケ州教育委員長だったビルマ・ラブラドールさんで、現在はマニラでフィリピン教育省次官を務めている。  

大学まで進学

ヨーク小学校
ヨーク小学校で。奨学生のチアラ・F・フリアスちゃん9 才(左)とアンジェリカ・V・フリアスちゃん10才(右)。後左のグレース・サントスさんとアンドレア・モンテーロさん(中央)は1993 年の奨学生で、現在は同小学校の先生をしている。右端は現地運営委員会メンバーのアナリンさん
ライネ・カピートさんは1993年の養豚奨学生で、14歳だった95年に日本に招待され、大本の瑞生大祭に参拝。信徒・会員大会でスピーチした。長男のエルマルスくんは今回の奨学生に選ばれた。2世代にわたっての奨学生となる。カピートさんは高校卒業後、20歳で結婚した。写真は自宅の豚舎の前で5人の子供と一緒に

93年当時のマリンドゥーケ島は人口17万人で、6つの行政区に166の小学校があり、そのうちの小学4年から6年生までの1100人が、3カ年間の奨学生に選ばれた。
 2回目(95年)、3回目(97年)の支給では子豚のほかに、ヤギや鶏も与えられ、多くの児童が中学、高校あるいは大学まで通うことができた。
 ガサン地区のコーディネーターを担当したマリア・ヴァラーノ氏は現在、マット・ガサン小学校の校長先生で、昨年12月、私の訪問を受け現地を案内してくれた。
 「ガサン地区では3カ年で145人が奨学生となり、多くの家族に利益をもたらしました」とヴァラーノ校長。「その後は、島内にとどまっている元奨学生もいれば、島外に出た者もいます。4割の児童が養豚に成功して学業を続け、専門職に就きました。実業家、経営者、教員、大学の講師、会計士、製図士、船員、会社員などです。しかし、養豚がうまくいかなかった生徒は、あいかわらず質素に村で暮らし、農業や漁師、物売り、養豚、養鶏に従事しています。彼らは少ない収入をやりくりしながら子供や兄弟姉妹を学校に通わせています。まだまだ子供を学校に行かせられない多くの家庭がここにはあるのです」と話してくれた。
 95年に養豚奨学生として日本に招かれ、大本瑞生大祭に参拝したライネ・カピートさん宅を案内してもらったが、彼女は今でも1匹の老いた雌豚を飼育して5人の子供を育てていた。
 子供一人を小学校に通わせるのに月額600ペソ(約1200円)かかり、生活は苦しいともらしていた。

喜びにわく現地

 筆者は大本紀伊本苑(人類愛善会和歌山協議会)担当の特派宣伝使でもあることから、帰国後、和歌山でこの報告をさせていただいた。思いがけず小藪弘隆協議会長をはじめ和歌山協議会の皆さんから、「ぜひ、引き続き支援をしましょう、年間10万円を和歌山協議会が負担しますので」とのうれしい申し出をいただいた。
 ただし条件として、カピートさんの8歳になる長男も支給対象に加えて欲しいとのことだった。

ブヌンガ小学校
ブヌンガ小学校で。奨学生のエルマルス・カピートくん(8 才)を囲んで。中央は校長のグレン・P・エスピリツ先生で、1995 年の奨学生だった。今回の現地運営委員会の責任者ヴァラーノ先生(右端)は、マットガサン小学校の校長で、1993 年当時は「愛善友の会」の現地運営委員会のメンバーだった。左端は現地運営委員会アドバイザーのマリヴィック・グリマルドさん

早速、現地のヴァラーノ氏に伝えると大変に喜ばれ、すぐに23人からなる「愛善Piglet(子豚)プログラム2010」現地運営委員会が1月に立ち上がった。
 運営委員の中には、当時奨学生だった3人が名前を連ね、2月には、7歳から14歳までの20人の奨学生が新たに選考されて子豚の支給を受けた。来年の5月頃には新しい子豚が誕生し、その報酬で学校に通うことができる。また、生まれた子豚の一部は、次の奨学生に支給されていくことになる。
 ヴァラーノ校長は、「教育は国家を成功に導く道具であり、また、汗を流して働くことほど、人が生きて行く上で大切なものはないのです。また再び、愛善の輪がマリンドューケの地に広がっていくことが本当にうれしいです」と興奮ぎみに電話口で語ってくれた。

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