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イスラエル・パレスチナは共存共栄できる

ヨルダンと両国で新たな経済圏作りを

サミール・ナウリ駐日ヨルダン大使 綾部市で講演

サミール・ナウリ駐日ヨルダン大使の記念講演会『明日の中東和平を考える』(主催・NPO法人大本イスラエル・パレスチナ平和研究所)が7月26日、綾部市で開かれた。大使は8年間の任期を終え9月に帰国するのを前に、パレスチナ問題(中東問題)に対するヨルダンの立場や施策、紛争解決への具体的な展望などを語った。

鹿子木副会長あいさつする鹿子木旦夫副会長。講演には四方八州男綾部市長はじめ市民80人が来場した

講演に先立ち、同研究所の鹿子木旦夫理事長(人類愛善会副会長)があいさつ。綾部市がエルサレム市と2000年に友好都市関係を結び、03年には、イスラエルとパレスチナの紛争遺児を日本に招き交流してもらう「中東和平プロジェクト」が、綾部市で始まったことなどを紹介。「中東和平の実現は、日本がイスラエルとパレスチナの間を取り持つだけでは困難。ヨルダンと日本が一体となって、平和への道筋をつくることが大事」と、隣国ヨルダンの果たす役割が大きいことを強調した。

中東問題の解決に積極的貢献

ヨルダン大使講演するサミール・ナウリ大使(ホテル綾部で)

ヨルダンはイスラエルと国境を接しており、現在も地理的、政治的に常に緊張状態にある。中東問題に深く関わってきた歴史を持ち、ヨルダンの全人口600万人の半数はパレスチナ難民だという。こうした背景を踏まえて大使は、「ヨルダンにとって中東問題は最重要問題で、これを解決しなければ国の存亡にかかわります」と強調した。

そして、ヨルダンが建国以来、同問題について穏健で現実的な施策をとってきたことを強調。具体的には、アラブ諸国の反発を招きながらもヨルダンが主張し続けている「イスラエルとパレスチナの2国の共存」や、第4次中東戦争(1973年)後に同国が提唱して近年ようやくアラブ諸国の間で認められたという、「平和と領土の交換」(イスラエルが占領した土地をアラブに返還することを条件として、イスラエルを国家として認める案)などを挙げた。

また、ヨルダンがパレスチナ難民への政治的・経済的な支援を続けながら、イスラエルと94年に正式に外交関係を樹立したこと。2000年に米国・イスラエル・ヨルダンの3国間で自由貿易協定が結ばれたことなどを紹介。「イスラエル、米国、パレスチナとの良好な関係を利用して、中東平和実現に貢献していきたい。紛争は政治的解決が第一ですが、経済対策が安定した平和実現には欠かせません」と述べ、具体策として、ヨルダン、パレスチナ、イスラエルの3国による経済圏構想を紹介。「パレスチナが国として承認されれば、そこをシンガポールのような自由貿易の特別区にする。そうすれば、アラブ諸国からオイルマネーだけではなく、企業の投資や優秀な人材も集まるでしょう。新たな投資先としてイスラエルも潤うはずです」と述べた。

“平和と繁栄の回廊”構想を高く評価

2006年、中東を訪問した小泉首相(当時)は、「経済を通して中東に平和を」という観点から、日本のODA(政府開発援助)を生かした日本・イスラエル・パレスチナ・ヨルダンの4国による共同プロジェクト「平和と繁栄の回廊」創設構想を打ち出した。これは、ヨルダン川西岸の肥沃な土地を日本の農業技術で開発し、パレスチナで作られた農作物をヨルダンに送り、ヨルダンからアラブ諸国に輸出する流れを確立するというもの。

サミール大使はこのプロジェクト構想を高く評価。「パレスチナに雇用の機会を生み、経済的にも豊かになり、平和が生まれます。ヨルダン・パレスチナ・イスラエルの3国間の信頼関係も生まれて来ます。このプロジェクトの成功が中東地域、また他の地域に与える影響は大きいのです」と述べ、今後の日本から中東地域への投資に期待を示した。

 「ヨルダンと日本は天然資源は少ないですが、向上心や勤勉性に優れた国民性を持ち、人的資源に恵まれています」と話すサミール大使は、「日本の若い皆様に希望をもっています。多くの日本の若者が、ボランティア精神を発揮して海外で活躍されることを期待します」と述べ、講演を結んだ。(⇒関連リンク)

大使を囲んで  

講演後、綾部での中東和平プロジェクトを描いた絵本「平和の種」(どりむ社・刊)を話題に、談笑する(右から)四方八州男市長、サミール大使夫人・静子さん、サミール大使、矢野裕巳 NPO法人大本イスラエル・パレスチナ研究所主任研究員

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